紫色の何か 〜something purple〜

日々の雑記およびそれまでに自分が思ったこと感じたことをつらつらと

プロットのようなもの_001

夕暮れ時、窓にはオレンジ色の空が見えていた。

部屋では枠が歪んだカラーボックスに置かれた時代遅れのラジカセからラジオパーソナリティの声が流れていた。定期的にうねるようなノイズを乗せて。

「えー……続いてのリクエストは……」

ラジカセはラジオを流しているのではなく、カセットテープを再生していた。昔のラジオ番組を録音したもので、時を経てその当時の空気感を再現しているようだった。

「ラジオネーム、○○さんからのリクエストで……」

曲をかける前に、リクエストしたリスナーとその曲にまつわるエピソードが読み上げられる。

「それでは……」

次の曲が流れ出した。それは十数年前に少し流行ったバンドのメジャーデビュー曲だった。この曲が収録されたシングルの売上はそれほどでもなかったが、その後の4枚目のシングルで当時放映されていたアニメのオープニングテーマとして起用され、シングルとその曲が収録されたアルバムが一時期飛ぶように売れた。

その後は時流に乗ってしばらくリリースする曲は軒並みヒットするようになったが、二三年後には入れ替わりの激しい音楽シーンにうまくキャッチアップすることができず、シングルやアルバムを出してもチャートの上位からは遠ざかるようになった。

ただ、活動は継続しているようで、今でも音楽のニュースサイトでそのことを目にする。

 

(そういえば……)

 

 

(あの頃のシングルというと、細長いパッケージに小さなCDが主流だったけど……)

 

 

(その後マキシ・シングルというアルバムのCDと同じサイズのものが出てくるようになったけど……)

 

 

(いつからだろう……あの小さなCDを見かけなくなって、シングル自体が普通のサイズと変わらなくなったのは……)